2012/04/07

石神山と宮崎の巨石仲間

 4月5日(金)、宮崎在住の巨石仲間である谷口さんが天国へ召された。45才の若さだった。ただただ無念でならない。

想えば、谷口さんは、私にとって宮崎の巨石を紹介してくれ巨石仲間とのご縁をつなげてくれた大切な人だった。そして、何よりもマニアックな巨石の世界を、わくわくしながら語りあえる同志でもあった。今でも、巨石の話をしている彼女の笑顔が目に浮かぶ。

谷口さんと初めて出会ったのは、私が車上生活で日本石巡礼をしている2004年である。当時、メールマガジン「フォトダマ通信」なるものを発行していて、読者であった彼女は、2004919日、パレア(熊本市)で行われた「石の語りべ」に、宮崎から駆けつけてくれた。その時、彼女は、イワクラサミットを宮崎で開催したい、サミットに私を招聘したいと熱く語ってくれた。

翌年の2005716日~17日、宮崎考古博物館(宮崎県西都市)で「イワクラサミットin宮崎」が開催され、彼女の想いは実現した。私もサミットでお話をさせていただき多くの巨石仲間と出会うことができた。彼女は、イワクラ(磐座)学会理事をしながら、宮崎の巨石探訪、調査研究を続け、巨石ネットワーク日向の活動で巨石文化を発信しつづけていた。

今年の2月18日(土)、19日(日)、宮崎県日向市で行われた【巨石写真家・須田郡司と楽しむ「田の原 宝探し トレッキング〜記紀神話1300年をたどって」】というイベントは、彼女が企画してくれたものだった。このイベントの背景には、次のような物語があった。

以下、谷口さん(猫バス堂さん)のブログ(2012210日)引用。

http://blogs.yahoo.co.jp/nekobusudou/43781983.html

石神山に巨石の写真家・須田郡司氏がやってくる!

先日の「日向の巨石シンポジウム」でも注目をあびた
日向市美々津の田の原地区ある石神山。
この石神山が復活した背景には、ひとつのドラマがある。

2005年、西都原考古博物館で開催された「イワクラサミットin宮崎」
トークゲストとして宮崎を訪れた巨石の写真家・須田郡司氏は
この時、県内の巨石をいくつか訪ねてまわったという。
そのときの様子は「日本石巡礼 ~聖なる石に出会う旅・9~」として
今でもネット上に公開され、誰でも読むことが出来る。
この記事が、田の原地区のふたりの姉妹の目にとまった。

「90を越えるうちの父から、『石神さんは昔から大事にされていた
すごいところなんだ』と聞かされていました。
でも今では誰も行くことがない。
ところが偉い写真家の先生が見に来てくれたというじゃないですか。
そして杉の林に埋もれた巨石を見て、がっかりして帰られたなんて
地元の者として、なんて申し訳ないことをしたのだろうと思って。
だからふたりでぼちぼちと藪払いを続けてきたんです」

ネット上の記事を目にしてから6年の間、
ふたりは少しずつ石神山の石神さんのまわりの藪を払い、
その範囲を広げていったという。
「そしたら藪を払えば払うほど、
大きな石がごろごろ出てくるじゃないですか。
それで怖くなって、誰か専門家の人に見てもらおう、と思って」
そして猫ばす堂に連絡が入った。「石神山を見に来て欲しい」と。

これが石神山復活の始まりとなった。
それまでも石神山のうわさは耳にしていたけれど、
登山口もわからず、藪に埋もれた巨石の写真は
その神々しいまでの魅力の、半分も伝わってこない。
ところが6年の歳月をかけて、ふたりが藪払いをした石神は
圧倒的な存在感で訪れるものみんなを魅了した。
そして先日、「日向の巨石シンポジウム」のプログラムとして
60名もの参加者を石神山に迎えるほどになったのだ。

このドラマのきっかけとなった記事を書いた
巨石の写真家・須田郡司氏が石神山にやってくる!
いつか本当の石神山の姿を見てもらいたいというふたりの願いが
とうとう身を結ぶ時が来たのだ!
平成23年度のいきいき集落活性化推進事業として
田の原地区が企画運営する「田の原宝探しトレッキング」がそれだ。
2月18日(土)の13時から、石神山のトレッキング。
もちろん、須田郡司氏もいっしょだ。
次の日の2月19日(日)10時からは、須田郡司氏による体験型講演会が
旧美々津小学校田の原分校にて行われる。 

以上。

 日向市田の原でのイベントは、私にとってとても光栄な催しだった。イベント前日の217日には、巨石ネットワーク日向の方々に激レアな巨石をご案内いただき、イベント当日18日の朝、石神山を切り開いた田の原に住む姉妹の方々に石神山の南面をご案内いただいた。その後、50名も参加者と石神山のトレッキングを楽しんだ。翌19日、旧美々津小学校田の原分校体育館にて講演をさせていただく。

イベント終了後、夜行バスで京都に帰る直前、谷口さんが入院していた病院にお見舞いに行き、彼女は日向の巨石の魅力を熱く語ってくれた。それが、最後のお別れになるとは・・・・。

あなたからご縁をいただいた、巨石ネットワーク日向の方々と今後も交流をさせていただきます。そして、宮崎の巨石の魅力そして巨石文化の尊さを多くの方々に伝えてゆきたいと思っています。

谷口さん、ありがとうございました!

谷口さんこと猫バス堂さまのご冥福を心よりお祈りいたします!


  石神山の巨石(宮崎県日向市)

     2012年47日 満月 須田郡司 拝