2010/02/18

リマ先住民の記憶、聖なる石棒とミイラ Huaca Pucllana  Huaca Huallamarca

 2月10日

 朝10時、カハマルカからの夜行バスはリマに到着した。15時間あまりのバスの旅は、リクライニングシートや夕食、朝食付きというデラックバスのためかなり快適だった。海に近いホステルにチェックインして、さっそく市内の遺跡を巡ることに。
最初に訪ねたのは、ワカ・プクヤーナ遺跡。


 ワカ・プクヤーナ(Huaca Pucllana)遺跡は、紀元後から8世紀頃に栄えたリマ文明の遺跡で、土器やミイラが出土している。1981年頃から発掘が始まり、1987年に土地所有者から国が買い取って現在も発掘が続いている。辺りでは、発掘の作業や修復作業が続けられていた。

 パンフに寄れば、ワカ・プクヤーナとは、ケチュア語で「遊ぶ場所」を意味し、リマ文明の祭祀センターだという。5世紀頃、神官たちによって宗教・政治・経済を支える重要な建物として建設される。儀礼のエリア・公共のエリアがあり、最盛期の広さは18haだったが、現在は6ha。祭り、生贄・供物をささげる場として作られる。古代アンデス中央海岸の人にとって重要で神聖な場所だという。

ワカ・プクヤーナ山頂にはいくつもの穴があいていて、小さな穴 は約2400個あり、1000年ほど前に庶民がお供えものを入れるために掘った穴だ。

穴の中からコカ、針、綿、貝などが発掘されている。大きな穴は柱木(トーテムポール状)の跡だ。また、ここには、その当時の壁の黄色が残っている。

ここから近年、女子のミイラが8体発掘され、今でも発掘される可能性があるという。
街中に佇む、砂の山といった印象を持つワカ・プクヤーナ遺跡であるが、興味深い石があった。それは、男性器を模している石棒だ。

この石は、この形のまま砂から発掘されたものでグアンカと呼ばれている。グアンカとは、ケチュア語で、「聖なる石」、「石となって神聖化された人」を意味する。それは、日本の石棒やインドのシヴァ・リンガとつながる永遠性や豊穣を感じさせるものがあった。

次にワカ・ワヤマルカ遺跡を訪ねる。
入口から見える丘が、再建された日干しレンガのピラミッドだ。周囲の近代的なビルと妙にミスマッチな感じがする。

ピラミッドの隅から見上げると三角状な美しい構造になっている。

 この遺跡は、AD200年から500年頃に造られ祭祀儀式などに使われていた神殿といわれている。近くの博物館には、遺跡から発掘された遺物が展示してあった。その中で特に印象的なのは女性のミイラだ。

顔の表情から手のしぐさ、長い髪の姿は今にも動き出しそうで、一見ぞっとするくらいリアルだった。

 ペルーと言えばインカ文明があまりにも有名だが、このリマ文明という古層の文明の記憶が大都市リマ市内に残っていることは驚きだ。インカ文明は15世紀からわずか100年あまり、それ以前の古層文化の積み重ねの奥深さを感じさせた。

             ボリビア、ラパスにて
                            郡司 拝