2010/01/27

火山島に残る先住民の記憶・オメテペ島(Isla de Ometepe)のロック・アート

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 サンサルバドルからの国際バスで12時間かけてニカラグアの首都マナグアへ到着し、それから比較的治安のよいグラナダへ移動して宿泊する。翌日、グラナダの博物館でいくつかの考古学的な石像が見学する。グラナダの観光案内所で石情報を調べると、ニカラグア湖の火山島オメテペ島にペトロブリフが刻まれた石があることを知り、翌22日、オメペテ島へ渡ることにした。


グラナダから一時間半あまりでオメテペ島へ渡るサン・ホルの港に到着。浜辺で泳ぐ姿が見え、何とも穏やかな湖だ。

数十人くらい乗れる客船でオメペテ島に向け出港する。時折、波しぶきが船の中に入ってくる。しばらくすると、二つの山が見えてきた。

島の形はまるで「ひっこりひょうたん島」、北側はコンセプシオン山Concepción)海抜1610m、南側はマデラス山Maderas)、海抜1394mという2つの火山で形成されている。コンセプシオン山は今も噴煙を上げる活火山、マデラス山は休火山だ。

1時間あまりオメテペ島に到着する。 島の北側のモヨガルパ桟橋を降りると、商店やレストランやホテルなどが並んでいて、歩いて5分くらいのホステルにチェックインする。この島は人口約35千人で、淡水湖の島では世界一大きいとか。ニカラグア湖は淡水鮫がいることで知られ、 天候もよかったので、午後、半日だけオフロードバイクを借りてペトフリフを見ることに。

ペトログリフ(Petroglyph)とは、ギリシア語のpetros(石、岩)と、glyphe(彫刻)が組み合わされた、造語で 「岩面彫刻」などと訳される。日本では岩絵とも言われ、古いものでは1万年前のものがヨーロッパの洞窟の中に見られ世界中に分布している。その多くは石器時代の文化として扱われる。また、近年ではロック・アートとも呼ばれる。

モヨガルパの町から23kmほど走ると、島内最大の町アンタグラシアで博物館を見学する。そこには、島で発掘された石像物やペトオグリフが展示してある。その後、ペトログリフがあるマデラス火山に近いサンタ・クルスへ向かう。

途中、島がくびれたところにオホ・デ・アグア」(Ojo de Agua)という湧水地があり、湧水が川となり湖へ流れていた。

人々はその綺麗な水で洗濯をしたり、身体を洗っていた。砂地のでこぼこ道を30分くらい走ると、サンタ・クルスの村へ。地元に人にペトログリフの石を訪ねるもなかなか通じない。ある家の敷地内に石があり中に入り見させてもらうと、大勢に子供たちがやってきた。

結局、この石はペトログリフではなかったが。

ようやく、入口を見つけ600mほど山に入った処に簡単な屋根が付けられたペトログリフが点在していた。





ペトログリフは、様々な文様、動物や人の姿などが彫られていた。
あたりにはいくつもの石が点在していて、どこか奈良の三輪山の磐座群と似ていた。

周囲を散策していると、このペトログリフのある場所からコンセプシオン山を望むことができた。

古代の人々も、この聖なる火山を仰ぎながら、岩に記憶を彫り込めたのだろう。

帰りがけ、西日に照らされたコンセプシオン山の山頂と傘雲を見ることができた。

火山コンセプシオン山は、この島に変らぬエネルギーを与え続けている。


               コロンビア、ボゴダにて

                  郡司 拝