2010/01/01

メキシコ、タラウマラ人集落の巨石

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 フェニックスからのグレイハンドのバスを乗り継ぎ、アリゾナ州の国境の街エルパソからメキシコに入国したが、出入国の手続きが一切なかった。荷物チェックも何も無く簡単にメキシコに入れるとは・・・。

お昼頃にメキシコ北部のチワワに到着。その日は街中のホテルに宿泊する。チワワは、チワワ州の州都で標高約1300m、人口約71万人もの大きな都市だ。観光案内所で石情報を尋ね、チワワの南西にあるクリールへ行くことにする。次の日、高山列車で知られるチワワ太平洋鉄道に乗ることに決め、街中を見学する。街の中心部は巨大なクリスマスツリーと臨時に作られたアイススケート場があり、その周りは屋台が立ち並び大勢の人々で賑わっていた。我々は、初めてのメキシコに興奮しつつ屋台で食事を堪能する。メキシコ料理は、ふんだんな野菜と、スパイシーな味付けでかなりいける。


28日朝5時半、ホテルの人に頼んでチワワ太平洋鉄道の駅まで送ってもらうはずだったが、着いたのは何と長距離バスターミナルだった。スペイン語でちゃんと説明できないのはつらい。タクシーで鉄道駅に行こうかと思ったが、バス会社に尋ねると、幸いにもクリール行きのバスがあり、急遽、バスでクリールへ行くことにする。ありがたいことに運賃は鉄道の約半額、約5時間の快適なバス旅でクリールの街へ到着する。クリールはかなりの観光地のようで、バスから降りると何人ものホテルや観光ガイドの呼び込みがやってきた。その日はホテルを予約していて、ホテルの人と鉄道駅での待ち合わせだったので昼食を食べることにする。乗るはずだったチワワ太平洋鉄道が、クリール駅に到着する頃になると、駅周辺は次第に人々が増えてきた。やがて赤いディーゼル機関車がゆっくりとホームに入ってきた。車両には、何人もの西欧人やアジア人が列車に乗るための準備をしていた。



その後、我々はホテルの人と合流してチェックインをして、町の散策に出かける。ホテルや店が集まるメイン通りには民芸品店、雑貨屋などが集まっていた。しばらく歩いていると街の背景にいくつかの奇岩を見ることができた。



クリールの近郊には、メキシコの先住民であるタラウマラ人の集落があり、その集落は奇岩に囲われた村でもあった。翌日、我々はその集落の奇岩を巡るショート・ツアーを予約する。


 29日朝、目を覚ますと辺りは薄っすらと雪が積もっていた。昨日頼んでいたドライバー・ガイドは車で待っていて、今日の肯定を説明を受け小雪の降る中、ショート・ツアーへ出発する。

しばらく走ると車窓からいくつもの奇岩が目に飛び込んできた。

最初にピエドラ・デル・エレファンテ(象岩)と呼ばれる岩の横に車は停まった。

確かに象に似ている。それから雪が積もるアラレコ湖に行く。湖の周りには石がごろごろとしていてその上に雪が積もり、まるで日本庭園のようだ。

 その後、メキシコインデアン・タラウマラ人の集落バイエ・ロス・オンゴスへ行く。村の中にはいくつもの奇岩が点在していた。途中、雪降る岩を背景にホーストレックをしている一行を見かける。何とも風情がある。

村の教会近くには、かえる岩と呼ばれる奇岩があった。

さらに車を集落の奥へ進むと、キノコのような奇岩がごろごろとしていた。いよいよメインである。まるでドルメンをイメージさせる岩もある。


一番大きなキノコ岩の前には、黒いビニールで覆われていた。

いつもならお土産を並べているのだろう。3人のインデアンがキノコ岩の下で休んでいた。雪のため商売も難しいのだろう。

最後に向かったのは、村のはずれにあるカーサス・タラオマラスと呼ばれる岩の住居跡。小さな断崖が連なる一部分に、洞穴状の空間があり、かつての住居跡も今ではお土産物屋になっていた。



岩上から水が落ちていて、飲料水として利用しているようだった。タラウマラの人々は、岩を利用した生活を今でも続けている。

2時間あまりのショート・ツアーだったが多くの奇岩と出会えて満足であった。


クリールの街からチワワに戻ると、バスターミナル入口で見事な虹が上がっていた。

バスターミナルからメキシコシティへ行く予定だったが、出入国手続のことが心配だったため、メキシコシティの日本人宿に連絡をして尋ねることに。すると、再度アメリカとのボーダーに行き、手続きをしたほうが良いのではとのアドバイスを受ける。仕方なくアメリカの出国スタンプをもらうためメキシコシティ行きを遅らせ、バスで国境の町オヒナガへ行くことにする。3時間あまりでオヒナガに到着、タクシーに乗りアメリカ側の国境の町プレシーディオで再入国をする。出入国係官に事細かな質問を受ける。フェニックスからチワワまでのバスチケット、帰国のエアチケットを見せ、再び両手すべての指紋を取られ、顔写真を撮られる。結局1時時間半も待たされようやく、出国のスタンプを押してくれた。同じタクシーで、メキシコのオヒナガへ戻る。メキシコに正式に入国できるのは、何とも幸せである。夜も遅かったので、バスターミナル近くホテルに宿泊し、屋台のタコスを食べて休む。


 翌31日、オヒナガ、チワワ経由で約23時間のバスに揺られて、昼過ぎにメキシコシティに到着。

        メキシコ、大晦日のメキシコシティにて

                                   須田郡司 拝