2009/08/12

イギリス、スコットランドの祭りと巨石

8月7日
 ロンドンのヴィクトリア・バス・ステイションから12時間で、スコットランドのインヴァネスに到着。
昼食を食べてからさらに北にあるアラプール行きのバスに乗る。2時間あまりで港町アラプールに到着し、観光案内所で、これから行こうとしているルイス島の町ストーノウェイの宿情報を尋ねる。すると、職員が言うには、ストーノウェイでは、今日、明日とスコットランドの音楽祭が行われたくさんの人々が訪れているので、宿を探すのは難しい、と言われた。 もしかしたら、今夜は野宿かと思いながらも、何とかなるだろうとルイス島行きのフェリーに乗った。
 ルイス島のカラニッシュには、ブリテン島を代表する先史時代の遺跡スタンディング・ストーンズがある。ケルトハイクロスを現すように建つ、このユニークな巨石群をどうしても訪ねたいと思っていた。
フェリーがルイス島に近付くと、海に一筋の光が差した。

 2時間半ほどの快適な船旅でストーノウェイの町に到着。午後8時を過ぎていたが、まだまだ日は上っていて明るい。さっそく宿探しに出かけるが、案内所の職員が言ったようにホテル、B&Bなどを訪ね歩くが、すべて満室だった。あきらめかけた頃、あるホテルで満室と断られたが、どんな部屋でもよいから空部屋があったら泊めて欲しい。野宿をすることができないから、と切実に訴えると、少し待てといって、普段は物置として使っているがベットのある部屋を急遽、掃除とベットメイキングとして提供してくれることになった。実にありがたかった。ほっとしつつ、スーパーの入口で待っていた妻に知らせ、買い物をしてチェックインをする。
 その晩、町の北西にあるルース城近くで行われたスコットランドの音楽祭が行われていた。偶然訪れたルイス島で、スコットランドのバグパイプの生演奏が聞けるとはありがたい。辺りには、何軒もの屋台がでてスコットランドの民族衣装に身を包んだ人々で賑わっていた。グループごとの演奏は迫力があり、1000人くらいの観客は手拍子をしながら盛り上がっていた。

ホテルの窓からフィナーレの花火を見ることも、何ともミラクルな一日であった。
 翌朝、バスステイションでカラニッシュ行きの時刻を尋ねる。すると、一番早いバスが9時10分で、それでカラニッシュへ行き撮影し、次のバスでストーノウエイの町に戻ってくると午後3時を過ぎてしまう。次の予定もあり、その日の14時30分発アラプール行きのフェリーに乗らなくてはならなかった。土曜日は、フェリーとバスの本数が少なかったのだ。ストーノウエイで連泊するのも難しかった。
そこで、カラニッシュからの帰りはヒッチハイクをしてストーノウェイまで戻ることにした。
 バスステイションからカラニッシュ方面のバスには、私意外に一人の乗客しかいなかった。ドライバーは、かなり飛ばしながら運転する。途中、いくつもの小さな湖を見ながら、30分あまりでカラニッシュ・ストーンズのバス停に到着。
 駐車場を過ぎると、ビジターセンターがあり、そこから右手に3分ほど歩くと、カラニッシュのスタンディング・ストーンズが姿を現した。

石は、直線上に並ぶものと、サークル状の並ぶものが組み合わされていて、全体を見ているとどこか神聖な雰囲気が漂っている。カラニシュの石は、直接、手で触れることができるのはありがたい。しばらく石を巡っていると、小雨が降ってきた。フェンス入口の正面に小さな岩屋のような石組があり、その中に入って雨宿りをする。
 雨は降ったり止んだりを繰り返しながら、やがて雨風が激しくなってきた。
その後、再び遺跡群に戻り、撮影をしていると、短い時間だが光が指した。その光景は、まるで人が立っているように見えた。

やがて遺跡の見学者が次第に増えてきた。子供から老若男女まで幅広い層の人々が訪れては夢中で巨石と記念写真を撮っている。カラニッシュの石は、特に人気があるようだ。

 ケルト・ハイクロス(十字)を現す、カラニッシュのタンディング・ストーンズは、ケルト人によって利用されたのだろうか。また、ここで冬至、夏至、春分、秋分などの祭りが行われていたのかもしれない。
少し離れた場所の小さなストーンサークルを見て、ストーノウェイへ戻ることにした。

 正午を過ぎてから、ヒッチハイクを試みる。ヒッチハイクをするのは10数年ぶりになる。しかも、国籍不明にみられるおっさんに車が停まってくれるのか、と緊張した。ストーノウェイと書いた白い紙を手に持って、走る車に向けて差し出したが、なかなか停まってくれない。
30分くらい経って一台の車が停まってく、この島に働きに来ているイングランド人の男性が、ストーノウェイまで運んでくれた。
カラニッシュのスタンディング・ストーンは、とても印象的な石の風景であった。

               ベルファーストにて、郡司 拝