2009/07/14

イタリア、聖ミカエルが出現した岩窟教会

7月13日

世界石巡礼に旅立つ前のこと、月刊誌「旅」(新潮社)編集部に売り込みにいった際、編集者からあるバッナンバー の雑誌をいただいた。その中にでイタリアのガルガーノ岬にある岩窟教会でのミサの写真を目にした。その教会は、サン・ミケーレ教会といい、私は世界石巡礼でそこに行きたいと願っていた。

バーリのホテルを早朝にチェッアウトして、バーリ駅から電車に乗り1時間半でフォッジャ駅に着く。フォッジャからサン・ミケーレ教会があるモンテ・サンタンジェロ行きのバスに向かう。 バスは一時間ほど走ると、一気に坂道を上り始めた。まるで中禅寺湖のいろは坂を思い起こさせる。
時折、道路沿いの岩の洞窟があった。
しばらくすると、上の方に街が見えた。こんな山の上に街があるなんて。その街は標高800mもの高地にあった。

やがて、バスはモンテ・サンタンジェロの街に到着した。バス停近くのバールでリュックを預かってもらい、サン・ミケーレ教会に向かった。街には細い坂道が多く、まるで迷路のようだった。街は高台にあるため、どこからでも海を望むことができた。
地元の人に道を尋ねながら、高台にあるサン・ミケーレ教会の入口にたどり着いた。

モンテ・サンターノジェロとは、大天使山を意味し、サン・ミケーレ教会は大天使ミカエル(サン・ミケーレ)が三回出現した洞窟教会で、カトリックの世界では、最も名高い聖地の一つの発祥地として知られていた。
その奇跡が起きたには5世紀末といわれる。それから、モンテ・サンタンジェロの街は発展し、今では聖地巡礼者のみならず観光地として多くの人々が訪れる場所になっていた。
サン・ミケーレ教会の入口から86段の階段を降りてゆくと、中庭にでてそこから洞窟教会に入口になる。

中に入ると、自然の岩肌がむき出しになった洞窟の中に教会があった。何とも厳かで神聖な雰囲気だろう。ここで、数々の奇跡が起きたというのも納得ができる。
私は、静かに洞窟教会の中を歩いた。そこには長年に渡るカトリック信仰におけるイコンがあった。教会は時代と共に近代的な建築物を拡張したという。洞窟内で最も感動したのは、ごつごつとした天然の岩肌そのものを残していることにある。

サン・ミケーレ教会は、まさに信仰の原初的な形態を思わせる聖所空間だ。
           イタリア、ナポリにて 郡司 拝