2009/07/22

イタリア、アチカステッロ(アチ城)とキュクロプスの島(三連立神)

 7月21日
カターニアから北上したバスがアチトレッツァの村に入ると、海の中に三つの岩が見えた。
その光景は、まるで奄美の三連立神を彷彿させた。

 マルタを早朝5時に出航したフェリーが8時過ぎにカタ-ニアに到着すると、どこか時差ぼけのような感じになっていた。以前、カターニアの観光案内所でもらったパンフレットの中に、エトナ山の溶岩でできた火山岩のアチカステッロ(城)の写真が載っていて、そこに行くことにした。

カタ-ニアのバスターミナルから534番のバスに40分ほど走ると、アチトレッツァの村に到着。海辺のあちこちで水着を着た人々が寛いでいる。ここは、シチリアの有名な観光リゾート地の一つだ。
 海にはいくつもの岩礁があり、正面の海に奇岩が聳えていた。奄美大島の古見の三連立神のように見えた岩は、「キュクロプス達の島」と呼ばれていた。
 この名称は、オデッセウスの伝説に由来している。それは、オデッセウスがエトナのふもとに住んでいたキュクロプス(一つ目の巨人)の目を潰して、船で逃亡する際に、巨人が投げつけた岩がこれらの島となったという。

アチトレッツァから海辺を1kmほど南に歩くと、海に突き出た玄武岩の絶壁に城が建っている。その上には、火山岩でできた城がそびえている。これが、アチカステッロ(アチ城)だ。町の名もそこからきていた。

 この岩は、約55万年前にエトナ火山が海底噴火の時にできたもので、アチカステッロの絶壁に見られる「枕」型の火山岩は直径約1mもあり、隙間に粘度質の存在があるのが特徴だという。
ギリシャ神話によると、妖精ガラテアに愛された羊飼いアキス(イタリア語ではアチ)が、嫉妬深い一つ目の巨人ポリフェモスの怒りを逃れてこの城で死んだといわれている。また、ゼウスは、恋人の死を嘆く妖精ガラテアを、城を囲んで流れる水の流れに変えたという。
 かつて、この城はノルマン時代の1076年の創建で、当時は、カターニア司教に属していた。その後、14世紀にアラゴン家、15世紀にアラゴーネ家の所有となり武装要塞として利用された。
城に上ると、一部は鉱物学と古生物学のサンプルを集めた市立博物館として使われていていた。
    博物館に展示された模型
自然と歴史が解け合った光景、それがアチカステッロとキュクロプス達の島の岩の魅力であった。
  
              イタリア、カターニアにて 郡司 拝