2009/04/27

昆明で映画に混迷・・

中国からベトナムに抜けるため雲南省の昆明を訪れた際、街を散歩していると近代的な高層建築群に驚く。



ある映画の看板が目に入った。それは、南京大虐殺を描いた陸川(ルー・チュアン)監督の映画「南京!南京!」であった。

しかも、ここ昆明での封切りが422日。






423日、私は昆明の映画館で一人「南京!南京!」を見ることにした。

20元(約300円)で映画チケットを購入し、映画館に入ると昨夜見かけた警察官が数人映画館に入ってきた。

昨夜、昆明の繁華街を歩いているとき、妻は人に囲まれ一瞬のうちにウェストバックの中のコンパクトカメラを盗まれてしまった。その後、近くの交番で一時間ほどかけてポリスレポートを書いてもらったのだ。なんと、その時の外国人担当の女性警察官と一緒にいた数人の警察官達がぞろぞろとやってくるではないか。女性警官は、私を見るなり軽く会釈し、私も応えた。ただ、全員が制服を着たまま映画鑑賞をするとは実に驚く。

この映画は、公務として見なくてはならないのだろうか。


二時間あまりの映画が終り、映画館の中には重たい空気感が漂っていた。

戦闘シーンから数々の殺戮シーンと暴力シーンの連続、観客からのどよめき。


この映画は非常に意図的に日本軍の残虐行為を強調して作られているように思わざるを得なかった。

また、モノクロ映画で記録映画仕立てに構成され、看板には「永不忘却」のコピーがあり、まるで歴史的事実であったかの印象をも与えていた。


南京大虐殺には多くの論争がある。この映画が、どのような意味合いで作られたのか、中国のプロパガンダを含め検証する必要があるだろう。映画のワンシーンで日本の従軍記者の腕輪の朝日とあったのが気になった。

                        ハノイにて  郡司 拝